【2016年3月25日】日本印刷技術協会(JAGAT)は3月23日、JAGATセミナールームでセミナー「広告市場動向と新たな広告プランニング手法」を開催。会員や関係者、マスコミなど約30人が参加し、最新の広告事情に耳を傾けた。
JAGATセミナー「広告市場動向と新たな広告プランニング手法」実況中継(前編)に引き続き、同セミナーをレポートする。
2つ目の講演では、アジャイルメディア・ネットワークの藤崎実クリエイティブ・ディレクターが「アンバサダーに着目した新しい広告の可能性」について話した。
アンバサダープログラムとは
アンバサダーでの広告は、人に着目する取り組み。
インターネットは4マス媒体と並ぶ新しいメディアだが、双方向性があるという点で性格が異なる。一人一人の気持ちが大事にされ、広告よりも知人の推奨が優先されるメディア。
そこでは一方通行のマーケティングではなく、ファンやアンバサダーを中心にした双方向のマーケティングが求められる。
「アンバサダープログラム」はWOM(Word of Mouth)マーケティングとしてのクチコミともいえる。これは自然発生的なクチコミとは異なり、企業のマーケッターが関与できるもの。ただし、「ステルスマーケティング」や「やらせ」とは異なる。
SNSやブログで書いてくれることに金銭の支払いはせず、イベント参加への交通費も出さない。
アンバサダーやファンには、「体験」や「商品企画にへの参加」「認定」などによって、さらにその商品を好きになってもらい、自然な形で広めてもらう。
米国では「ブランドアドボケーズ(支持者たち)」(Rob Fuggetta著)という本があり、これがアンバサダープログラムの考えの元になっている。アドボケーズとは「支持者たち」という意味だ。この本では、顧客の25~35%存在するといわれるアドボケーズを組織化していくことが語られている。
著名人による広告と何が違うか
従来の広告手法では著名人をアンバサダーにするという手法があったが、ファンや顧客にアンバサダーになってもらうことは、これとは異なる。
ファンや顧客のアンバサダーは「金銭を受け取らず」「契約期間もない」そしてなにより「実際の顧客」である。
広告コミュニケーションが認知拡大を重視した一方通行であったことに対し、アンバサダープログラムは、ファンや顧客と企業が一緒に活動を行うマーケティング活動だ。このため、企業は「ファンがブランドについて語る言葉を増やす」ために情報を提供する。
消費者の推奨が重視される時代の新しいチャネルがアンバサダーという存在だ。
アンバサダーは新しい存在
アンバサダーはブランドストーリーを理解し、地震がブログなどで語る。これはロイヤルユーザーとも異なる。ロイヤルユーザーの購入動機は好きだからとは限らず、ポイントがもらえることが好きといった理由もあるためだ。
アンバサダーは商品のブランドそのものが好きなのだ。
実例ではアンバサダーを集めての「商品セミナー」「新商品に対する意見会」「商品を使った料理の講習会」「乗り物の試乗会」などを行っている。
ここでは、「ブランド担当者の深い話を聞ける」「一足早く新商品を使える「アンバサダーの意見が商品企画に反映される」「特別な認定証がもらえる」などの他ではできない体験でがある。
一方、企業側は批判的な意見も止めることなく、アンバサダーへのコントロールは行わない。
広告とPRは融合し始めている。アンバサダーとのリレーションは「顧客との情報共創」。ここにはさまざまな可能性がある。
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