【2016年11月28日】日本フォーム印刷工業連合会は11月25日、東京都中央区の日本印刷会館で、「市場アンケート調査報告セミナー」を開催した。
「市場アンケート調査報告セミナー」では、このほど発刊された「2016 年度版フォーム印刷業界の現状と課題に関する調査報告書」について、市場調査委員長の石井啓太氏が解説した。
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また、今話題のマーケティングオートメーションに関して、日本の第一人者である庭山一郎氏が「B to Bのためのマーケティングオートメーション」のテーマで講演を行った。
「フォーム印刷業界の現状と課題に関する調査報告」 石井啓太市場調査委員長
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「フォーム印刷業界の現状と課題に関する調査報告書」は、毎年、フォーム工連の会員を対象に行っているもので、今回は「2015年の実績」を回答してもらい「2014年実績」と比較し掲載している。
回答者は60社で回答率は51.7%と、前年から微増している。
売り上げはほぼ横ばいと答えた企業が最も多く、48社(80.0%)。経常利益に関しては「減少した」と答えた企業が減っており、やや改善している。
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特徴的な傾向をまとめると以下のようになる。
DPSデータプリント用のフォーム印刷は増えており、75%以上が展開。
BPOは「やっていないが」26社だった。これは前回は64.2%だったものが、47.3%まで減っている。
「利益に影響を与えたプラス要因」(複数回答)としては「人件費と経費削減」(50.0%)を上げる会社が最も多く、我慢の様子が伺える。
「利益のマイナス要因」では、「取引先からのコスト削減要請の増加」「売上高の減少」などがあがっており、厳しい内情が垣間見えた。
「産業用プリンタ(デジタル印刷機)」に関しては、「すでに導入しているが更に追加する予定」が8.3%、「すでに導入している」が31.7%と合わせて40%が導入していると答えている。一方で全く検討していない会社も33.3%あり、報告書では「二極化している」と分析している。
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「産業用プリンタの稼働率」に関しては「十分仕事量を確保できている」が24.0%、「ある程度仕事量を確保できている」が44.0%と、かなり活用が進んでいる様子も分かる。
「あまり仕事量を確保できていない」(24.0%)「ほとんど仕事量を確保できていない」(8.0%)と答えた8社に、その理由を聴いたところ(複数回答)、「営業力が足りていない」(75.0%)が最も多く、「有効な利用方法が確立されていない」(62.5%)、「コストが見合わない」(50.0%)などが続いた。
石井委員長は「どういう所に、どうやって(デジタル印刷機での印刷物を)売ったらいいのか。印刷機メーカーも一緒に考えてほしい。そういったことが導入の動機付けになるのではないか」と呼びかけた。
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「現在、抱えている課題」(複数回答)では「営業力・スキルアップ」が71.7%、「生産効率の向上」が68.3%、「新規事業の立ち上げ・新分野参入」が40.0%となった。
「営業力・スキルアップ」は毎年トップで、業界が持つ最大の課題と言える。
「まとめ」
全体として紙への印刷は縮小傾向にある。これに代わりBPOやマーケティング分野への進出が目立つ。このため、社員には企画提案力やソリューション能力が求められている。
採算見合わない顧客の整理も必要、また人手不足となっており省力化が必要不可欠と感じる。
質疑応答で、会場からは「アンケートした後の行動が大事だが、発表して終わっている印象。他の委員会との連携を図り、漠然とした課題提案でなく、実際の教育に活かしてほしい」といった厳しい意見も寄せられた。
「B to Bのためのマーケティングオートメーション」シンフォニーマーケティング 代表取締役 庭山一郎氏
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BtoB企業のマーケティングの歴史で流れは以下の3つ
・リサーチ
・企業ブランディング
・案件創出 デマンドセンター ROMI
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マーケティングの評価は、どのレベルの案件をどれだけ営業に渡せたかで決まる。その案件創出のプラットフォームがマーケティングオートメーション(MA)。
日本のMAは2014年あたりから導入が始まったが、今は屍の山ができている。これは約80%がマーケティングの設計ができる前にツールを選んでいるからだ。
使用目的を決めてからクルマを選ぶように、まずはマーケティングの目的を決めてから、ツールを決めなければならない。
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日本のマーケティングは米国に比べ15~20年遅れている。これは日本の会社が「引き合い」に依存しているからだ。
これを解消し、MAを利用すれば、クロスセルの効果がすぐに出る。
MAでは、ユーザー候補(リード)の行動を特定したうえで、ターゲッティングできるからだ。
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マーケティングと営業は車の両輪。日本では片輪走行の会社がほとんどで、営業マンがすべてをやっており、海外進出した企業は、このために負けている。
私自身は30年前に大学を卒業する寸前にマーケティングを知り、それからこの世界一筋だ。
当時、斜陽産業と言われた子供服で、「ミキハウス」だけが伸びていることを研究した。
ミキハウスでは、顧客を「セグメント」し、「ターゲット定義」を行い、「ポジショニングを宣言する」ということがしっかり行われていた。
マーケティングは、斜陽産業の中で成長できる知恵。ぜひ皆さんも学んで役立ててほしい。
【関連記事参照】
「印刷技術懇談会2月例会」 庭山一郎氏マーケティングオートメーションについて語る!