【2017年2月7日】昨年、ドイツで開催された世界最大の印刷関連機材店「drupa2016」。
印刷機メーカーからはデジタル印刷機について多くの提案があった。
「シリーズ デジタルプリント」では、印刷機メーカーを中心にデジタルプリントにかかわる企業を取材し、今後のデジタルプリントについて現状や将来を明らかにしていく。
第1回はデジタル印刷のリーディングカンパニーと言える日本HP。
昨日掲載した「<日本HP・前編> 「drupa2016」は印刷業界以外からも注目集める」に続き、後編では昨年の「drupa2016」でお披露目された「HP PrintOS」の話からブランドオーナーを巻き込む展開まで、日本HPデジタルブレス事業本部マーケティング&ビジネスディベロップメントの山田大策マネージャーに話を聞いた。
「HP PrintOS」とは何か?
―昨年は「HP PrintOS」もリリースしましたこれはどういったものですか
「HP PrintOS」は当社が開発したオープン型プラットフォームです。
デジタル印刷機を中心としたIoTプラットフォームともいえる拡張性が高いもので、当社のデジタル印刷機を便利に使えるさまざまなアプリケーションを、このOS上で利用できます。
また、既存の他社印刷機や業務管理システムとの連携も可能で、導入企業の仕事を総合的に支援します。
―具体的にはどのようなものでしょう
これはHPが世界中でデジタル印刷機を販売する中で分かったのですが、デジタル印刷の導入には、これまでと異なるさまざまな課題が出てきます。
例えば「少量の印刷を受注できる」ことはいいことですが「営業や工程管理が煩雑になる」という課題が出てきます。
また、版を作らないため、複数のデジタル印刷機や、複数事業所で同一データを分散して印刷するという工程もしやすくなりましたが、この際の「色合わせ」は大きな課題です。
こういった課題に応えるアプリケーションが用意され、HPの産業用プリンタユーザーならどなたでも活用できることが「HP PrintOS」の特長です。
―これまでも工程管理やカラーマネジメントはここにシステムが存在しました
「HP PrintOS」の場合は、サードパーティーがアプリケーションを作ってこのOSの上で動かすことも可能なのです。
当社が言うのもなんですが、アップルのiOSをイメージしていただければわかりやすいかと思います。
―なるほど、まさにOS(基本ソフト)ですね
HPの産業用プリンタを使っている「仲間同士での情報交換」もでき、トラブルシューティングや成功事例の共有なども可能にしています。
起こらない方がいいことですが、印刷機にトラブルが発生した時に、他の印刷会社の同型機とジョブの共有もでき、緊急時の顧客対応に役立てられます。
分かりやすいシステムを目指しているので、印刷会社だけでなくブランドオーナーとのデータの受け渡しツールとしても活用可能です。
―「HP PrintOS」の理解・浸透度は
まだ去年リリースしたばかりですので、理解はこれから進んでいくと思います。
すべてのユーザーが接続するには至っていませんが、徐々に接続率は上がっているので、接続した会社では便利さを体感していただけているのではないでしょうか。
「HP PrintOS」を披露した「drupa2016」ブース
―今後のHPのデジタル印刷機について、展望をお聞かせください
「drupa2016」では、開催期間中にIndigoは300台の受注を得て、その後、世界中に納入を進めています。
日本では出版社のKADOKAWAに当社「HP PageWide Web Press T490M HD」や「HP Indigo 50000」などが導入されました。
こういったことで、さまざまな業界でデジタル印刷への理解が深まっていると感じます。
現代はマス・カスタマイゼーションの時代と言われています。
HPのデジタル印刷機は、デジタル印刷機の強みをさらに伸ばして、このマス・カスタマイゼーションに対応した印刷によって、ブランドオーナーや広告代理店を巻き込みながら、さらに成長を続けていきたいと思います。
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